吃音を知る

吃音治療について【言語聴覚士監修】 

今回は吃音治療について言語聴覚士の矢田康人先生に気になる吃音治療について伺っていこうと思います。

皆川
皆川
矢田先生今日はよろしくお願いします
矢田康人(言語聴覚士)
矢田康人(言語聴覚士)
はい、こちらこそよろしくお願いします
皆川
皆川
では早速なんですが、皆さん気になってると思うことで吃音の治療方法ってずばりどんなものがあるんですか?
矢田康人(言語聴覚士)
矢田康人(言語聴覚士)
『これをやれば必ず治る!』といった方法はありませんが、発症からの経過期間が短い幼児期であれば親を介した”環境調整法”や”リッカムプログラム”などの完治を目指した治療法を、年齢や発症後の経過期間から完治が難しいと考えられる場合には流暢な発話方法の習得を目指す”流暢性形成法”などの言語療法や、吃音に伴う不安感やコミュニケーション上での問題を解決するために”認知行動療法”が行われる場合があります。
また、メンタルリハーサル法という成人吃音でも完治を目指した介入法もあるようです。
皆川
皆川
環境調整、リッカムプログラム?流暢性形成・・・なんだか聞いたことない言葉が沢山出てきました…(笑)
でははじめに流暢性形成法ってどんなことをするんですか?
矢田康人(言語聴覚士)
矢田康人(言語聴覚士)
発話における流暢性スキルを習得することを目的に、「呼吸コントロール」「軟起声」「フレージング」「発話速度のコントロール」「軽い構音器官の接触」などを段階的に訓練していく方法です
皆川
皆川
では次はリッカムプログラムって具体的にはどんな治療法なんですか?
矢田康人(言語聴覚士)
矢田康人(言語聴覚士)
シドニー大学の研究者、臨床家が開発した訓練方法で、主な対象は6歳以下の就学前のお子さんです。
行動療法の理論に基づいた手法で、会話の中で子供の発話に対して両親がルールに伴って反応を返すという、いわば両親が行うセラピーです。
言語聴覚士はモデルを示したり、子どもの状況を確認し両親のセラピーの進行状況をコントロールするなどの役割を担います。
頻回に通院する必要があることや、リッカムプログラムを行なうには研修会を受講することが推奨されていることなどの理由から、どこの医療機関でも受けられるわけではありません。
皆川
皆川
では環境調整法はどんなことをするんですか?
矢田康人(言語聴覚士)
矢田康人(言語聴覚士)
環境調整法はD-C model(Demands & Capacities Model)という考え方に基づいて[7]、子どもの能力よりも難しい要求をしないように、両親のコミュニケーション環境を調整する、といったものです。具体的には

  • 子どもの発話速度より早い発話速度を避ける
  • 子どもの言語能力よりも難しい言葉掛けを避ける
  • 子どもの年齢や認知力に相応わしい話しかけ方・遊び方をする
  • 非現前の事象(昨日の出来事など)についての質問は避ける
  • 子どもが情緒的に不安定になるような働きかけを避ける
    などがあります。
皆川
皆川
なるほど!では子どもの吃音には2つ有効な方法があるんですね!どっちの方が有効とかあるんですか?
矢田康人(言語聴覚士)
矢田康人(言語聴覚士)
リッカムプログラムは世界各国から多くの治療効果の報告がなされておりその効果も化学的に証明されています。[8]一方、リッカムプログラムとD-C Modelに基づく環境調整の治療効果を比較した研究では両者に差はないとの結果が出ており[9]、どちらがいいとは言えないのが現状です。
皆川
皆川
子供の場合の治療をお聞きしましたが、成人の吃音になると治療方法は変わってくるんですか?
矢田康人(言語聴覚士)
矢田康人(言語聴覚士)
対象とする年齢により、目的と方法が大きく異なります。吃音は発症しても発症からおよそ4年以内に約70%-80%が自然治癒する[10]とされており、その期間であればより治癒する可能性を高めて「完治」を目指した支援を行います。一方で自然治癒せずに就学後まで吃音が残ってしまった場合は基本的に完治は難しいと考えられています。そのため、就学以降は吃音の症状を「軽減」することを目的とした支援を行います。

※いずれもその内容や進め方、適応の有無等は個人で異なり、上記はあくまで一般的な例です。

皆川
皆川
なるほど!症状を軽減できるだけでも嬉しいですね!個人的に完治しないものだと認識があってそうなると改善ということに意識が回らず治療を受ける意味ないなんて思ってました。これをきっかけに治療を受けてみたいと思います。

今日はありがとうございました。

引用[7] Starkweather CW, Gottwald SR. The demands and capacities model II: Clinical applications. J Fluen Disord 1990;15:143–157.
引用[8] Jones M, Onslow M, Packman A, Williams S, Ormond T, Schwarz I, et al. Randomised controlled trial of the Lidcombe programme of early stuttering intervention. Bmj 2005;331:659.
引用[9] Franken M-C, de Sonneville-Koedoot C, Stolk E, Rietveld ACM, Bouwmans-Frijters C. Comparing a Demands and Capacities Model Approach and the Lidcombe Program for Pre-school Stuttering Children: The Restart Randomised trail. Procedia-Soc Behav Sci 2015;193:287–288.
引用[10] Ambrose NG, Cox NJ, Yairi E. The genetic basis of persistence and recovery in stuttering. J Speech Lang Hear Res 1997;40:567–580.

矢田先生の詳しいプロフィール

編集部まとめ

吃音治療は上記の様に個々によりどんな方法で行っていくか決まるようです。
未就学児は完治を目指し就学以降は軽減を目指していく治療が一般的だとわかりました。
また矢田先生を取材をしていく中で『完治できない』という知識が先行してしまい改善治療も受けない人が非常の多いというお話を聞きました。
完治できなくても改善できるなら救われる方も多そうだなと思います。
一度診断を受け自分の発話を見つめなおしどんな方法で改善を目指していくかを知っていくことが大事だと思いました。