吃音当事者インタビュー せいや

当事者インタビュー
吃音とうまく付き合いながら日常生活を行っている当事者さんにフォーカスをあてて職場での体験談や吃音をどのようにカバーしながら仕事をしているかや自身の吃音歴などのお話を伺っていこうと思います。またお話頂いた内容で吃音改善に関わる内容が出てくる場合もありますが科学的医学的根拠はないあくまで個人の考えになります。言語聴覚士監修の吃音知識のコーナーで科学的根拠に基づく吃音の知識を得ることができます。

灰根(吃音ラボ編集部)
本日はよろしくお願いします。
せいや
よろしくお願いします。
灰根(吃音ラボ編集部)
まず初めにお名前とご職業を教えてください。
せいや
名前はせいやと言います。職業は四月からシステムエンジニアで営業をしています。
灰根(吃音ラボ編集部)
具体的にはどのようなお仕事ですか?
せいや
海外から製品を仕入れて、日本の会社に売るような仕事をしています。
灰根(吃音ラボ編集部)
四月に入社ということで、本格的にお仕事するはこれからというところでしょうか。
せいや
そうですね、まだ研修期間中なので。
灰根(吃音ラボ編集部)
現在職場では自分に吃音があることを伝えていますか?
せいや
いや、言ってないです。
灰根(吃音ラボ編集部)
言わない理由は?
せいや
言った方が自分的には楽なんですけど、職場の中で自分だけ配慮をもらうような特別扱いされるのはあまり好きではないので言っていないですかね。
灰根(吃音ラボ編集部)
なるほど。それではこの先自分の吃音をカミングアウトすることを考えたことはありますか?
せいや
職場内で電話対応がこれから多くなると思うので、そういう場面で先輩方に迷惑をかける場合は(吃音を)言おうかなあとは思っています。
灰根(吃音ラボ編集部)
今後伝える可能性はあるということですね。いま実際に仕事を始めて吃音が障害になっているようなことはありますか?
せいや
やっぱり電話対応で、自分が結構難発なので、(言葉が)つまってしまって向こうの人に「なに?」とか言われることが今のところいちばん障害ですかね
灰根(吃音ラボ編集部)
やはり電話対応が難しいですよね。他の吃音者の方へのインタビューでも電話対応の難しさはよく聞きます。
職場ではもちろん、就職活動でも吃音については言っていなかったと思うのですが、それ以外の交流のある人にも吃音のことは伝えていましたか?
せいや
はい。最初は高校の卒業式に自分が一番仲のいい人に言って、その後は大学の友達4、5人くらいに自分は吃音があるということを言いました。
灰根(吃音ラボ編集部)
なぜ吃音があることを伝えようと思ったのですか?
せいや
大学の友達の中の一人は、いちばん仲が良かったので(吃音であることを)言った方が楽になると思って言いました。残りの人たちは、結構自分は日記を書くんですけど、それを友達に見られて「吃音あるんだ」って感じで向こうに知られたという感じですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
日記は勝手に見られたんですか?(笑)
せいや
じゃなくて、自分が日記を書いていて、「見てもいい?」って言うから「いいよ」って見せた感じですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
なるほど!せいやさんが吃音であることを知ったときの相手の反応はいかがでしたか?
せいや
相手の反応は「あ、そうなんだ」みたいな感じで、特に驚いた感じでもなく、「ふーん」みたいな軽い感じでしたね。
灰根(吃音ラボ編集部)
それではあまり吃音に関して深刻に受け止めるようなお友達ではなかったんですね。友達との関係もそれで変わるようなことはなかったと。
せいや
はい。
灰根(吃音ラボ編集部)
せいやさんご自身の心境に変化はありましたか?
せいや
やっぱり知ってもらうと安心するというか。隠しているとどうしても「どもったらどうしよう」みたいなことを思っちゃうんですけど、話すことによって「向こうも知っているからどもってもいいかな」と思えるようになりましたね。
灰根(吃音ラボ編集部)
安心するというのはわかる気がします。僕も以前の職場の人に後になってから伝えたら、少し気が楽になった覚えがあります。
就職してからは電話対応で吃音を障害に感じるということですが、就職する以前で吃音を障害に思うことはありましたか?
せいや
やっぱりいちばん困るのは、バイト先とかで定型文を言わないといけないときに、どもっちゃう単語もあるので、それがいちばん障害でしたね。
灰根(吃音ラボ編集部)
定型文は言い換えができないですからね。ごまかせないから苦手な単語だともろに吃音による障害を感じてしまいますよね。
せいやさんが吃音を自覚したのはいつですか?
せいや
たぶん中学生に入ったくらいですかね。中学校のときは周りかた吃音についてからかわれることが多かったので、「自分はちょっと周りと違うな」と感じていたんですけど、「吃音」という単語自体は知らなかったので、インターネットで調べて「吃音」という症状を知ったという感じですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
吃音があることを知って、病院やことばの教室に行ったことはありますか?
せいや
一応病院には行ったんですけど、先生には「緊張しているだけだよ」みたいな感じで言われただけなので…それくらいですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
先生は吃音というものを知らなかったんですかね?
せいや
たぶん、そうだと思います。
灰根(吃音ラボ編集部)
やはりどうしても認知度は低いんですね。
吃音を改善するために発声練習など取り組んだことは何かありますか?
せいや
特にはやってないですけど、「中高生の吃音のつどい」というのには参加しました。たぶん高校に入る前くらいだと思うんですけど、あんまり記憶が…(笑)たぶん中3高1くらいだったと思うんですけど。
灰根(吃音ラボ編集部)
あまり記憶がないとのことですが(笑)具体的には「中高生の吃音のつどい」とはどういったものなんですか?
せいや
中学生高校生が集まって、それに加えて社会人の方も来てくださって、対話をしたり、中学生高校生の悩みを聞いてくれたりして、その対処方法を教えてくれたりする場ですかね。
灰根(吃音ラボ編集部)
どういった経緯でそのつどいの存在をして参加することになったんですか?
せいや
吃音は中学生の後半にインターネットで調べて知って、それで吃音の集まりがあることも知りました。
灰根(吃音ラボ編集部)
そうして自分で見つけて実際に参加してみようと思ったと。
せいや
そうですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
参加していた期間はどのくらいですか?
せいや
高校2年生くらいまで行っていましたね。
灰根(吃音ラボ編集部)
活動の頻度はどのくらいですか?
せいや
たぶん2、3ヶ月に一度くらいですね
灰根(吃音ラボ編集部)
あまり頻度は多くないんですね。
参加してみて成果のようなものは何かありましたか。
せいや
自分よりも吃音の症状が重い人もいて、その中でも別にあんまり気にしないで話している人もいたので、(自分も)あまり気にしなくていいのかなという風には思いましたね。
灰根(吃音ラボ編集部)
吃音に対する考え方など心理的な面で効果があったということですね。
就活を最近までやっていたということですが、就活での面接ではやはり吃音で苦労しましたか?
せいや
結構人によってまちまちだったんですけど、人によってはすごい緊張しちゃってどもっちゃう場面もあれば、普通に話せる場面もあって。なので、まあそんなに困りは……困りはしたんですけど、そこまで困ってはいないのかなと。
灰根(吃音ラボ編集部)
そうなんですね!僕は就活中は結構吃音で苦労した記憶があるので、すごいなと思います。
職業選択の場面で、吃音が影響するようなことはありましたか?
せいや
いや、特にないですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
吃音があるなしにかかわらず、現在の職業を選択していたということですね!
せいやさんは、吃音についてカミングアウトすることについてどうお考えでしょうか?
せいや
やっぱり自分の周りの人には知ってほしいなとは思うんですけど、確かに障害者だと思われるのはあまり好ましくはないですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
せいやさんの考えとしては、それほど配慮を必要としていないということなんでしょうか?
せいや
うーん……配慮はしてほしいんですけど、でもそんなに特別扱いもしてほしくない。
灰根(吃音ラボ編集部)
あーそれはすごいわかる気がします。普通に扱われたいんだけど、どうしても普通の人を同じようにできない場面があるとやはり困ってしまうんですよね。
世間一般の吃音の認知度を上げることについてはどうお考えですか?
せいや
世間一般には知られた方がいいと思いますね。やっぱり吃音が結構ひどい人もいると思うので、そこで職業選択の幅が狭まったりするので、そういう人たちに向けてはもっともっと広まったほうがいいのかなと思います。
灰根(吃音ラボ編集部)
明らかに配慮を必要とする人のことを考えると、認知度が広まり理解を得られたほうが色々な職種で働きやすいでしょうね。
せいやさんは、どのように現在のご職業を選ばれたんですか?
せいや
最初は軸として海外志向の会社で見ていて、それで商社とIT見ていたんですけど、商社の営業だと結構ガツガツ行く感じだったのでそこは自分に向いていないなと思い、それでITを見て、という感じです。
灰根(吃音ラボ編集部)
海外志向が選択の軸だったんですね!学校も外国語の学校だったとおっしゃっていましたもんね。
僕が聞いた話で、日本語だと吃音が出やすいけど、英語だと吃音が出にくい人がいたり、またはその逆の人もいると聞いたんですけど、せいやさんはどうですか?
せいや
自分は英語の方が、出にくいというよりかは向こうも気にしていないので、オープンに話せるから、海外…というか英語の方が好きですかね。
灰根(吃音ラボ編集部)
言語そのもというより、文化的にオープンで話せる環境だから外国の方が話しやすいということですね。興味深いです。
社会人以前と社会人以後で吃音に対する考え方や困る点は変わりましたか?
せいや
社会人になると能動的にいかないといけないので、自分から質問したりしないといけないんですけど、そういうことを学生の時にあまりしていなかったので、そこが結構難しいなというところですかね。
灰根(吃音ラボ編集部)
やはり社会人になると受身ばかりではいられないですからね。
皆さんに聞いているのですが、吃音ラボのインタビューを受けようと思った理由をよければ教えてください。
せいや
受けようと思った理由は、もっと吃音という言葉をもっとみんなに知ってほしいなというのと、結構自分のためというのもあるのかもしれないですね。自分の考えをもっと改めるためというのもあると思います。
灰根(吃音ラボ編集部)
本当にありがたいです。自分の考えを改めるというのは具体的にどういうことですか?
せいや
うーん……自分の考えを改めるというか……なんていうんですかね、ちょっと難しいですね(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
吃音に対して深刻に考えてしまう人もいれば全然気にしない人もいますが、せいやさんはどうだったんですか?
せいや
意外と深刻に考えるときもありましたね。
吃音だからというわけじゃないんですけど、自分はそんなに話す方ではないので。
自分の趣味についてはすごい話すんですけど、それ以外のことや興味のないことは話したりしないので、そもそもあまり話さないのでどもることがない。
中学高校はやっぱりクラスが一個だったので、そこで発表もあり、中学高校時代は毎日悩んでいました。
大学に入ってからは授業が別々なので、発表もそんなに多くないので、大学時代の方が逆にそんなに悩みませんでした。
海外旅行ばかりしていたので。自分の趣味に没頭することで吃音について考える時間が減りましたね。
灰根(吃音ラボ編集部)
他のことに夢中になって吃音から意識が薄れたと。
そういうことありますよね。
年月の経過で吃音の症状にこれまで変化はありましたか?
せいや
最初中学校の時は連発でしたね。
それでみんなにからかわれたりすることが多くて、それからあまり喋らなくなって、難発気味になりました。
その後大学に入ってから海外旅行をしていたので、そこから吃音の症状が軽くなったという感じですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
元々は連発気味から少しずつ難発気味になったと。結構多いパターンなイメージです。
ちなみに答えたくなかったらいいんですけど、今お付き合いしている人はいますか?(笑)
せいや
いや、いないです(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
結婚願望はありますか?
せいや
若干です(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
若干ですか(笑)結婚したいという人が今後見つかったとして、吃音であることを伝えるつもりはありますか?
せいや
はい。
灰根(吃音ラボ編集部)
それは、どのタイミングで伝えますか?出会ったときか、付き合うときか、付き合ってから少し経ってからか、結婚するときか、結婚して少し経ってからなのか。
せいや
付き合って少ししてぐらいからですかね。
灰根(吃音ラボ編集部)
出会ったときには言わずに、付き合って少し自分の中でタイミングを計ってからお伝えすると言うことですね。やっぱり吃音であることは伝えないといけないと思うんですか?
せいや
恋人だったら伝えた方が自分が楽だと思うので。
灰根(吃音ラボ編集部)
なるほど。確かにそこまで深い関係性であれば伝えて知ってもらった方がきっと楽ですよね。今まで聞いたお話の中では、結婚していても吃音について言ってない人もいらっしゃったんですよね。その辺は人によって考え方が違う部分かもしれないので興味深いですね。
今までの交友関係で吃音を指摘されたことはありますか?
せいや
うーん…指摘されたことはあんまり…覚えてないですね特には。
灰根(吃音ラボ編集部)
そんなに自分の中で印象に残るような形では言われたことがないということですね。
カミングアウトはした方がいいと思いますか?
せいや
やっぱ自分が一番仲がいい人には言った方がいいと思いますね。
別にそれを言ったからといって関係が崩れたりするのであればその関係はそれまでだと思うので。
ぶっちゃけ吃音を言ったからと言って関係が崩れることはないとは思うので、言った方がいいと思います。
灰根(吃音ラボ編集部)
おっしゃる通りですよね、吃音を言って崩れる関係なんてその程度のもんだったってことですよね。
最後に、見ている方に何かメッセージがあればお願いします!
せいや
何かしら趣味があればそれに没頭するのもありだし、社会人になるのが怖い人もいると思うんですけど、自分で稼ぐ力をつけて会社に入んないって選択肢もできると思うので、そういう選択肢を考えて行動してみるのもありだと思います。自分で良ければ相談聞くので、メールくれても大丈夫です!
灰根(吃音ラボ編集部)
メールしてもいいなんて優しいです!(笑)本日はありがとうございました!
せいや
ありがとうございました!

せいやさんにもっと詳しく話を聞いてみたい。吃音の相談をしてみたいという方はせいやさんのTwitterから相談することが出来ます。

せいやさんのブログの紹介

・better life

・note

 

撮影後記
最近就職したばかりのせいやさん。学生だった頃と社会人である今が比較的に近いので、どちらのお話も伺うことができました。とても優しい方で、吃音の方で話を聞きたい人がいればメールしてくれていいとおっしゃっていました。吃音のつどいや会社に勤める以外の選択肢について聞いてみたいというと方がいらっしゃれば、ぜひせいやさんにお話を伺ってみてはいかがでしょうか。

取材・撮影・編集=灰根