インタビュー

吃音当事者インタビュー のす

吃音当事者インタビュー

吃音を持ちながら日常生活を行っている当事者さんに職場での体験談や吃音をどのようにカバーしながら仕事をしているかや自身の吃音歴などのお話を伺っていこうと思います。
またお話頂いた内容で吃音改善に関わる内容が出てくる場合もありますが、あくまで個人の考えになりますのでご理解ください。

皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
今日はよろしくお願いします!
のす
のす
よろしくお願いします。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
でははじめにお名前とご職業を教えてください。
のす
のす
のすと言います。職業はデイサービスの介護施設で運動の指導などをしています。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
介護系のお仕事なんですね!
今のお仕事は長く続けれているんですか?
のす
のす
仕事は今の職場では2年くらいですけど、デイサービスとか介護施設で働いてるのは6年。
間で休職とかありましたけど、6年ですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
じゃあもう長く続けているお仕事なんですね!
デイサービスというと高齢の方と接する機会が多いということですよね?
のす
のす
そうですね。
高齢です。下は50代の方105歳の方が最高齢でいます。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
105歳ですか!
そんなご高齢の方もいるなんですね!
今のお仕事をはじめたきっかけはなんだったんですか?
のす
のす
仕事をはじめたきっかけは最初はマッサージに興味あって専門学校に行って。
卒業してから整形の病院でマッサージ・針などの仕事をして働いていたんですけど、その後2年で辞めてニートな状態になって。
そこで専門学校時代の同級生にそこがデイサービスを経営していて、そこで機能訓練指導員という資格というあん摩マッサージの資格があれば、運動指導ができて働いてみるかとなって働いています。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では元々、興味があった業種のお仕事をされているんですね!
仕事中に吃音があり困ることはありますか?
のす
のす
やっぱり利用者と話したりスタッフと話したりチームプレーなので、意思疎通はかるのでどもっちゃってことでは困りますし。
あと電話もするので電話も最近は良くなってきたんですけど最初は取るのも嫌で拒否ってる感じでしたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
なるほど。
たしかに電話は嫌って人多いですもんね!
でも最近良くなってきてるならすごいですね。
職場では吃音をカミングアウトしていますか?
のす
のす
そうですね。
女性の環境なので男性が二人いて、一番親しい人にはいっているし、特に聞かれることはないんですけど、聞かれたら言ってもいいですね。
特にそこに関して敏感になっていることはないですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
あまり自分からは言わないってことなんですね!
僕も人から言われないのであまり言わないタイプではあります。
最近は実験的に人に言うようにしてるくらいなので聞かれたら普通に言いますし同じようにそこに対して敏感に捉えてるってことはないです。
のすさんは一番職場で親しい人に話してどうでしたか?
仕事面で働きやすくなったなどはありますか?
のす
のす
話して『えぇーそんなのあったの?全然気が付かなかったよ。』と言ってくれて、自分が楽になったという意味では言ってよかったですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
たしかに安心感はありますよね。
吃音と知らない人と話しているとちょっとどもっただけで神経質になってしまう瞬間ってあると思いますね。
仕事面で配慮を受けたりってありますか?
自分から望んでお願いしてるなどそういったことはどうですか?例えば電話を替わって貰ってるとか。
のす
のす
それはないですね。
今はもう大分調子がいいので電話は自分から取っちゃってる位です。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
自分から率先してですか?それはすごいですね!
最初は嫌だったという話でしたけど、どういうきっかけで今みたいに変わることが出来たんですか?
のす
のす
最初は前の職場で、電話って出るとお店の名前とか言わなきゃいけないじゃないですか?
〇〇〇(店名、社名など)の〇〇〇(自分の名前)です。みたいな。
それが前の職場ですごく言いやすいフレーズだったんですね。
それで電話をとっていくうちに電話での成功例が増えていって、それで出やすくなったのかな?と今思えばありますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
成功体験を沢山その職場で積めたんですね!
それはいいことですよね!
改善策として成功体験を重ねていくことがいいって聞いたことあるので、まさにのすさんはそのパターンにはまったってことですよね。
のすさん自身はいつ頃から吃音の症状を自覚をしてました?
のす
のす
小学校の3.4年、10歳位からですかね。
同級生に言われたってこともあったのかな。
家族で兄が二人いて。
兄から茶化して『あ』って何回言うの!みたいなえぐるような冗談を言われていて、実感しましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
そうだったんですね。
それは嫌な経験でしたね。
学校生活の苦労はありましたか?
のす
のす
教科書読むのが回ってくる2.3人前の瞬間はバグバグですよね。
今日読まなくても明日周ってくるのか?って。
お遊戯会みたいなので主役を演じさせられてどもりはしてなかったとは思うんですけど、今考えたら恐ろしいなと思います。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
順番で周ってくる時はバクバクですよね。
すごく分かりますね。結局、当日周ってこなくても翌日まで憂鬱な気持ちで過ごしていた記憶があります。
特に小学校の時なんかは、毎日そんなことの繰り返しだったと僕は思います。
僕は20歳頃になり吃音って言葉を知ったのですが、のすさんはいつ頃から知ってました?
のす
のす
高校とか。
高校生の時に独立少年合唱団というチビノリダーが主役だった映画があるんですけど。
チビノリダーが吃音者の役で合唱を通じてみんなと打ち解けていくって映画があってそこで知ったかなと思います。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
そういう映画があるんですね!
今度見てみたいと思います!
学生時代はカミングアウトしていましたか?
のす
のす
周りにはなかったですね。
ちょっと強がってたので。
気に入らないことあればぶん殴るみたいな人間だったので(笑)
あまり人に弱みを見せなかったですから。昔は。
今はもうどうにでもなれって感じですけど。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
(笑)
ぶん殴るですか(笑) 今の穏やかなのすさんからは想像し難いですけど…
でも僕もそっちよりでしたね!
ぶん殴るまではないですけど、弱みを見せずに強い自分を作っていたと思います。
だから先生とか友達、家族にも悩みを打ち明けるなんてできなかったです。
学生時代は部活はやっていましたか?
のす
のす
部活はサッカーをやってましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
サッカーだとチームスポーツなので言葉が出ないことで困ったことはありましたか?
のす
のす
やっぱり言葉が出るにこしたことはないけどプレー自体は動きでなんとかなる感じでしたね。
支障はなかったですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
確かにそういう面もありますね。
しっかり話そうって場面でどもりやすい人が多いと思うんですけど、練習中とか試合中とかってそういうこと考えずに没頭している時間が長いと思いますね。
Twitterで『#吃音のある私がアルバイトをしてみた』ってタグがあるんですけど、のすさんはどういったアルバイトをしてましたか?
のす
のす
高校時代は吃音があり怖くてできなかったですね。
大学に入ってから住み込みのホテルのバイトとか。
その後、居酒屋で働いたりとか。
居酒屋はキッチンに入ろうと思ったんですけど親方にどやされるイメージがあり嫌だったんですけどホールをやってました。
そんなことをやってましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
ホールだと話す機会も多いし大変そうですね。
バイト先で吃音があり苦労したことや当時を思い出してこんな事に苦労していたなどはありますか?
のす
のす
物事にビビるようになってたので。
関連があるか分からないんですけど、バスとか電話にひとりで乗るのが怖くて。
それが結構人にも恥ずかしくて言えないし。
学校選びとかも電車とかバスに乗らないで済む場所にしようとか消極的な考えを持ったり。
小学校、中学校とかも子どもながらに面接とかあるとそこで話さないといけないんだとか日々焦っていたり社会に出れば電話をとらないといけないとか考えていたり。
そういうことにおびえていましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
なるほど。ではバイト先でもちょっとした発話機会にもビクビクすることが多かったということなのかもしれないですね。
今答えて頂いた内容でバスとか電車にひとりで乗るのが怖くてって話がありましたけどなぜ怖かったんですか?
のす
のす
自分でもなんでそんな考えになったの?と思いますが
迷ったら人に聞かないといけない頼る人がいない。
そういう恐れなのかな?と思います。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
なるほど。
確かに慣れない場所で人に話しかけたりとかするのは緊張もするし、どもったらどうしようと感じてしまう場面だと思いますしね。
ところで撮影前はすごく吃音の調子が悪いって言ってましたけど、ここまで特にそんな感じがなさそうなので調子良さそうですね!
のす
のす
昨日とか利用者と話していて、カ行がだめな日で白目むいちゃってたんじゃないかな?って位にどもりだったので話すのをやめましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
そうだったんですね。
昨日はダメな日だったみたいですけど、今日は調子良さそうだし、日によってかなり波があるんですか?
のす
のす
僕の場合は自分に自信がない時、なにか憂鬱なことがあった時、劣等感を感じてる時になんとなく吃音が出てるんじゃないかな?と思いますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
そうなんですね。
のすさんは電話の時に成功体験を積んで出れるようになったと話していたので、気持ちの面で大きく左右されているのかもしれませんね。
でも、やっぱり感情の浮き沈みって自然にあることですから、毎日自信を持った自分でいるのって難しいですよね。
僕自身、当事者として自分なりの吃音改善策みたいな当事者なりの方法みたいなのがあるんですけど、のすさんはありますか?
のす
のす
結果的に自分に自信が持てるような社会的にとか、環境に自分を置くことが改善することなのかな?と思いますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
のすさんの場合、それを実現して実際に改善もしていますもんね!
短期間で劇的に変わることはないのかもしれないんですけど、長期的な目線で自分が自信を持てるようにしていくことって大事なのかな?と思います。
のすさんは自信が持てるようになったきっかけはありますか?
のす
のす
開き直ったというか。
自分が強がってたのを。
人よりも自分が上にいないといけないみたいなたがが外れた時に楽になった様な気がします。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
学生時代は弱みを見せない自分だったという話でしたもんね。
ぶん殴るみたいな(笑)
でもすごく共感しますね。
僕も今ってすごく楽なんですよね。
吃音があって、もちろん自分のウィークポイントなのは間違いないんですけど。
人ってそれぞれ苦手なことがあると思うんですよ。
その反対に得意なこともあって。
まぁ吃音がウィークポイントって表現は特殊で綺麗ごとかと感じる人もいるとは思うんですけど、向き不向き位の雑な解釈で話すことは向いてない。
でも他のことで得意なことあるし、まぁいっかみたいな(笑)
吃音じゃない人でも弱点なんて皆さん1つ2つくらい自然と持っているものだと思いますからね。
のすさんは歳を重ねていくうちに吃音の症状面で変化はありましたか?
のす
のす
まぁこの通りというか。
最初は本当に白目をむくような喋るの諦めようみたいな感じだったんですけど、20代30代になって軽くはなっていきましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では自身の吃音に対しての考え方の変化はありますか?
のす
のす
今思えば最初はなんで俺だけって思ってたんですけど、こういう風な出会いもあるし、考え方も人の痛みが分かるような、わかってあげようと思いたいような人間になれてるつもりではあるのでそういうのはありますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
僕も吃音ではなかったら人の話を全然聞けない人間だったと思うんですけど、自分に吃音があるからこそ、言葉を一生懸命話している人の話は聞きたいと思います。
吃音に限らず、言葉に詰まっている人、すごく声が小さくて聞き取りにくい時とかも穏やかな気持ちで接することができるのは、言葉のコミュニケーションについて考える機会が多いからだと思うんですよね。
今ってのすさんは日常生活で吃音で困ることはありますか?
のす
のす
今は幸い本当に軽いので特には困ってはないんですけど、いつこれが再燃するか。
電話とった瞬間『うわぁ、出ねぇやばい』
利用者と喋っていて『喋りたいことが言えない』ってなったらどうしようという思いはありますけど、今は日常ではないですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
確かにそれは僕にもあります。
得意だった言葉が一回の失敗で苦手になってしまったみたいな。
コントロールがうまくできたらいいんですけどね。
今は症状としては軽いとのことですが、苦手意識がある場面はありますか?
のす
のす
うちの社長というか施設長、その人の前で現在の経営状態とかを発表報告しないといけない時があるんですけど、それはできれば言いたくないなと。
恐れがあるとどもるのでその時はどもりそうになりますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
目上の方とか緊張感のある場はやっぱり苦手意識はあるものですよね。
のすさんとは言友会でお会いしましたが、言友会どうでしたか?
参加してみて良かった点でも悪かった所でも正直に感想を聞きたいです。
のす
のす
実際には(言友会の会報の)発送作業と合同例会と3人しか集まらなかった例会しかないんですけど。
僕自分以外の当事者と吃音について話したことなかったのですごく楽しかったというのか。
興味を持てて話せたのですごい楽しかったし、いい経験になったって感じがしますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
確かに当事者同士で話せるのは大きいですよね。
それによって大きく変わるというと人によって様々な価値観だと思うんですけど、当事者同士で共有できる体験って沢山ありますしね。
言友会に関しては色々あまり良くなかったとか良かったとか意見があって賛否両論なんですけど、それぞれ合う合わないがあって当然だと思うんですよね。
同じ映画や本を見ても面白いと感じる人もいればつまらないと感じる人がいるのと同じで、僕ものすさんと同じで当事者と会うという点でだけ言えばすごく良かったと思います。
症状として改善されるとかそういうことは一切ないんですけど、人との出会いに価値を感じましたね。
ではさっきと少し似た質問になってしまうのですが、自分の吃音をどう捉えていますか?
自分にとっての吃音はこういうものだみたいな。
のす
のす
人の辛さ、特定の人しか共有できないできない経験なのでその人の痛みが分かる事でもあるので、吃音で悩んでる人が楽にして接することができるようなあげられるよう関わり方をしたいなと思うし。
吃音とは限らずに相手の方が楽になるような接し方をしたい。
そういう風に思ってますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
そうですよね。やっぱり年齢的なこともあると思うんですけど、30代になってくるとそういう風に思える人って多いのかな?と感覚的に思いますね。
20代前半は自分でいっぱいいっぱいって言うのも当然だと思うし。でも客観的に見れるように成長してくるってことなんですかね。
では最後に同じ当事者に向けてメッセージをお願いします。
のす
のす
多分、面接とか就職活動とかで学生であればその事が怖かったりでそのことがすごくプレッシャーだとは思うんですけど。
ある程度、社会の中で適応していった自分ができればあんな事もあったなと思える日が必ず来ると思うので。
それがあったからこそのいい経験もその後できると思うので頑張ってください。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
ご協力ありがとうございました。
のす
のす
ありがとうございました
撮影後記

のすさんは吃音を通して人の痛みが分かるようようなれたとお話してくれました。
自分自身とても共感ができ、吃音があるからこそのつくられた自分というものがある人だなと思いました。
また成功体験を積み重ねていき電話も率先して出れるようになったお話はとても興味深いなと思いました。吃音に限らず成功体験の積み重ねてによって自信を持ち吃音以外の面でも前に向かって進んでいけるきっかけになると思います。

取材・撮影・編集=皆川