吃音当事者インタビュー 村上

当事者インタビュー
吃音とうまく付き合いながら日常生活を行っている当事者さんにフォーカスをあてて職場での体験談や吃音をどのようにカバーしながら仕事をしているかや自身の吃音歴などのお話を伺っていこうと思います。またお話頂いた内容で吃音改善に関わる内容が出てくる場合もありますが科学的医学的根拠はないあくまで個人の考えになります。言語聴覚士監修の吃音知識のコーナーで科学的根拠に基づく吃音の知識を得ることができます。

皆川(吃音ラボ編集部)
今日はよろしくお願いします。
村上
村上と申します。言語聴覚士をしています
皆川(吃音ラボ編集部)
言語聴覚士さんなんですね!
お若いと思いますが、今はお仕事始めてから何年目ですか?
村上
いま一年目です。
皆川(吃音ラボ編集部)
では今年から社会人なんですね!
吃音があり言語聴覚士を目指す人が今は増えていると聞いたことがあるのですが、村上さんはなぜ言語聴覚士になろうと考えたのですか?
村上
まず自分が吃音だと知ったのが高校三年生の時に大学をどこにしようかな?と思ってるいる時に知りました。
それまでは自分が毎日どもっていた訳ですけど、自分だけがこの世でどもってる人間だと思っていたのが大学を探している時に吃音っていう障害?を見つけて自分のことについて知りたくなって言語聴覚士(ST)になろうと思いました。
皆川(吃音ラボ編集部)
なるほど!では僕と同じで症状の自覚はあっても吃音という言葉を知るのが遅かったんですね!
実際、言語聴覚士のお仕事はどんなことを今はされているんですか?
村上
脳卒中になられた方にリハビリをするんですけど口の中の筋肉が動かなくなったとか脳の機能が落ちてリンゴって言葉が出てこなかったりとかそういった方に言葉が出るようにしたり、また理解も出来ない人もいるので理解するように訓練したり。
あとは物を食べる訓練ですね。
噛んで飲んでって所に問題点を見つけて、そこでその問題点を解決して安全に噛んで飲み込むということができるようにしています。
皆川(吃音ラボ編集部)
リハビリのお仕事ですもんね!言語聴覚士ってどんなことを勉強するのかと以前調べたことがあるんですけど試験の出題範囲も結構広くて大変だなーと思った記憶があります。
村上さんは脳卒中の方のリハビリがメインなんですね。
話を少し戻して、いつ頃から自分に吃音の症状があることを自覚していましたか?
村上
小3くらいですかね。小3だと遅いですかね?
一度、気のせいだと思うんですけど小4くらいで治ったかな?と思ってでもまた小5になりましてまたどもり始めて。
昔の記憶なので曖昧なんですけど自分の中ではそういう感覚があって。
なので小6になったら治るかな?と軽く考えてたら治らなくて徐々に徐々にどもるようになってきて中学、高校、大学と年々症状が悪化していきました。
でも社会人になってから減ってきましたね。
社会人になってからはあまり変わってないですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
小3頃からだったんですね!
遅いか早いかは分からないですけど、一般的にもっと早いうちからって人は多いですよね。
でも大人になってから吃音になる人もいますしね。
徐々によくなっていく(言い換えを覚えて表面的には軽くなった)みたいな話はよく聞くんですけど、村上さんは年々症状が悪化していったとの事ですが、今は話してる感じ落ち着いてますもんね。
でもゆっくり意識して話してるのかな?という感じはします。
では学生時代、吃音で苦労したことはありましたか?
村上
部活をやっていて、(野球部で)外野をやっていて外野でライトとレフトに指示を出したかったのにどもってて声が出せず、その指示が入らなかったことが原因かわからないんですけど外野に打球が飛んできて『あぁー指示はいってれば取れたな』と思ったことがあります。
あと先生に挨拶が出来なかったりとか。そういった所が嫌でした。
あともう一つ!!
丸読みが出来なかったです。これが一番ですね。
国語の古文の時間でどもると生徒だけじゃなくて先生も笑うのでイライラしながら過ごしていましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
先生まで一緒に笑うって嫌ですね。
丸読みは皆さん苦手っていいますよね。僕も苦手ですし。
部活はチームスポーツだと特に声かけって大事になってきますしね。すごくその苦労はわかります。
学校生活以外で、例えばバイトなどではどうでした?学生時代アルバイトはしていましたか?
村上
色々やってました。
飲食店とスポーツ用品店、派遣会社に登録して工場ですとかそこでも飲食店とかあと木材加工とか!
あとは遊園地で期間限定のアルバイトをしてました!
皆川(吃音ラボ編集部)
Twitterで『#吃音のある私がアルバイトをしてみた』ってタグはちょっと前に流行ってたのでぜひアルバイト関連の事詳しくお聞きしたいです。
特にどんなことで苦労をしましたか?
村上
飲食店で苦労しましたね。
オーダーをとってきてオーダーを言わないと言えないといけないんですよ。
〇〇膳というのがあってそこの中で2種類選べるのがあってそれを言うのが苦手でした。
お蕎麦屋さんだったので『かけうどん』の『か』が出なくてすごく苦労しましたね。
オーダーをとってきてこれを言うのかって憂鬱になってました。
でもその時の店長はなにも言わなかったんですよね。
分かってたんですかね。吃音って。
なんだその話し方はって店長は言わないけどお客さんからは言われていたので、自分としては周りから『話し方おかしいな』と思われてるなと感じていて、だからバイトには行きたくなかったですね。
でもお小遣いが欲しいので頑張って働いてました(笑)
皆川(吃音ラボ編集部)
オーダーは言い換えもできないし挨拶が苦手と同じで言い換えができない言葉に苦手意識があると大変ですよね。
でも店長さんからはなにも言われなかったということは隠せていたのかそれか同じ職場で働いている方に恵まれていたのかもしれませんね。
仕事は人間関係大事ですからいいアルバイト先だったんだなと思いました。
お客さんから言われるのは嫌になりますよね。それに高校生とか大学生位だとそういうこと言われるとあまり免疫がそこまでない時期ですし凹む時は凹みますからね(笑)
でもお小遣いは学生の時は必須だからやるしかないですよね。本当にその思いはよくわかります(笑)
村上さんは今の職場では吃音があることは伝えていますか?仕事柄話しやすいとは思いますが。
村上
就活で面接をした時に伝えて、そこで知ってもらいました。
皆川(吃音ラボ編集部)
そうだったんですね。でも志望動機とかも吃音きっかけでSTを目指すとなると必然的に話す理由になるって方も多い気がしますしね。
実際話してみてどんな反応でしたか?
村上
吃音はその時の面接官がSTだったので吃音ってワードは認知していてだから驚いた反応もなくて、私がどもってもうんうんと聞いてくれるような方でした。
でも世の中ではそんな面接官は珍しいかなと思いました。
皆川(吃音ラボ編集部)
なるほど。でもSTの方と面接ならたしかに聞いてくれる環境であることは間違いないですよね。
今の職場って吃音の臨床をすることはあるんですか?
村上
ないですね。全く。
皆川(吃音ラボ編集部)
そもそもあまり吃音を診てくれる病院って少ないですもんね!
でもやっぱりSTになったからには吃音の臨床をしてみたいって気持ちはありますか?
村上
最初はありました。
あったんですけど就活をした段階で、今は脳卒中のリハビリやってますけど本当は小児の小さいお子さんの発音だったり自閉症とかあるじゃないですか?
そういった障害の指導をしたかったっていうのはあったんですけど、どうしてもSTの就職先の8割が大人の方のリハビリなので。
忙しくて就活を後回しにしていたら就職口がなくなり、今は大人の方、脳卒中の方のリハビリをしています。
皆川(吃音ラボ編集部)
そうなんですね。でもいずれ小児の方へ転職できたらいいですね。まだ1年目なら色々と可能性もありますし頑張ってください!
今はまだ毎日覚えることがいっぱいでそれどこではないのかもしれませんが…(笑)
今の職場で仕事中に吃音があり苦労する場面はありますか?
村上
どもりそうになった時に相手がどんな反応するか気になることがあります。
リハビリ入る前に出勤後に文章をゆっくり読む練習をしてそれからリハビリに入るようにしているんですけどそうすることによってある程度どもらないようにコントロールして仕事をしています。
皆川(吃音ラボ編集部)
やはり患者さんの前でどもる訳にはいかないって面もお仕事柄ありますもんね!
それは大変だなって思います。
でも普段から話し方は気を付けている感じはすごくしますね。でも違和感があるとかではなくて丁寧に話す人だなって印象です。
きっとその出勤後にしている練習の成果なのかな?と勝手ながら思っていますが。
では職場の人間関係とかで吃音があり困ることなどはありますか?
村上
新人なので分からない事があって分からないことを聞いた時に全部理解できなくて、本当はもう一回聞きたい時に分からない部分を聞くのにどもってしまうと考えると分からないのに
『わかりました』
と言ってしまうことがあります。
そこで聞き漏らして、ミスにつながるってこともあります。
本当は聞きなおしたいんですけど…それで聞けずって感じですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
それはすごく共感できますね!
分からないのに分かりましたもそうですけど分かってるのに分かりませんも学生時代はよくありました。
答えが言えないから分かりません。みたいな。
やっぱりそういうことは学生でも社会人でも大きな問題から小さい問題まで様々だとは思うんですけどあるものですよね。
今までの質問の回答を聞いていると、どもると思うと話すことを避けてしまうことが多いんですか?
村上
無意識にあって、自分はそうなんじゃないかな?と思って。そこまで割合としては多くはないと思いますね。
以前よりは減ってますね。
仕事なのでね(笑) ある程度は聞かないと!
でも100%出来てるかというとそうではないですね。
9割とかですね。
分からないのに分かったとか言っちゃいますし。
皆川(吃音ラボ編集部)
でも9割出来ているならいいですね!
僕はそんな出来てないですよ(笑)
7割6割?話したいことのうちそれ位しか普段話せていない感覚がありますし。
村上さんは学生時代の友人は吃音があることを周りに話してましたか?
村上
高校は自分が吃音だとわからなかったので言えない状況でしたから言ってないですね。
でも知ってても言ってないと思います。
大学では同級生に2人いたので吃音のことはその人には話してました。
でも自分から健常者に吃音なんだよねとは言ってなかったです。
皆川(吃音ラボ編集部)
高校生まで自分の言葉がどもることについて調べたりすることはなかったんですか?
村上
調べたんですけど自分の探し方が下手で検索ワードで
『つっかかる』とか『ひっかかる』で調べていて。
『吃音』ってワードが多分出てきてたんですけど、自分の目に留まらなくて吃音のサイトにも行きつけなくてわからなかったのかもしれないです。
皆川(吃音ラボ編集部)
僕も似たような感じで調べる時、検索スキルが低かったので初めて知ったのは20歳頃でしたからね。
幼稚園頃からこの話辛さは自分だけの症状なんだと思い込んでましたから。
今は日常生活で吃音があり困ることってありますか?
村上
普段慣れている人を話すことが多いので吃音の症状はあまり出ないです。
でも銀行に行ったりとか、電話したりとか出先ですとかそういった時にやっぱりちょっと緊張するのでそこでどもったり言いずらいなと感じたりします。
でも自分がどもりやすい状況は作らないようにしています。
自分はちゃらんぽらんだ!みたいな(笑)
ヘラヘラしてるとあまりどもらないので銀行にいっても美容院にいってもヘラヘラしています(笑)
それで楽に話しています!
皆川(吃音ラボ編集部)
ヘラヘラとですか(笑)
でもそれでいい意味でリラックスできてるのかもしれないですね!
僕も話の主導権を自分が持てば話しやすいとかあるので人それぞれ自分なりの話やすさみたいなものがあるのかもしれません。
でもやっぱり村上さんがいったように出先では急な発言の機会もあったりするので、変に緊張してどもるってことが多々あります。
少し、難しい質問になるんですけど村上さんは自身の吃音とどう向き合っていますか?吃音の捉え方というか。
そういった考えを教えてください。
村上
自分の吃音は治すのは無理だろうなって思ってます。
ただコントロールは少しできるんじゃないかな?と思うので先日、言友会に参加した時にSTの先生からこの本で練習してみなって教えて頂いた本があるのでその本をみて練習しようと思います。
それで自分の吃音症状をコントロールできるようなりたいなと。
治すのは難しいのでその本に頼ろうかな?と。
あとは人とできるだけ話すようにしています。笑われても笑われるの覚悟で。
いちいち吃音ってことも言わないですし。
話し相手の方に自分の話し方に慣れて貰えたらなって。
そういう風に向き合ってます。
皆川(吃音ラボ編集部)
なるほど!コントロールできるの関しては僕も思います。
でも僕の場合は言い換えがメインです。
これは良くないって結構言われたりするので、言い換えしないで話そうとはするんですけどもう習慣化してるのでなかなか難しいですね。
STの先生のおすすめされた本は発話の本ですよね。日常で使うの難しいんですけどちょっとした時に思い出してこのスキルを使えばできそうだ!みたいな感覚はあるので僕も実践しています。
そういえばSTになる為に大学で色んなことを勉強したと思うんですけど、実際吃音のことについてはかなり沢山勉強しましたか?
村上
基本的に大学は遊んでましたね(笑)
吃音の講義があれば真剣に…全部真剣にじゃないといけないんですけど(笑)
そこまで詳しく吃音のことってやらなくて。
やっぱりST(言語聴覚士)の中でも吃音はマイナーな領域なので。
でも研究は卒業研究でしました!
でも学生のできる範囲内の研究なので。
吃音の当事者に対してなにかをしてっていうのは学生がやるのはどうなんだろう?と思いできなくて。
自分としてはそういったことをしたかったんですけど。
結局、吃音の検査法の方法についての研究をしました。
皆川(吃音ラボ編集部)
まぁ大学にいったら遊びたいって気持ちも当然ありますよね(笑) 素直な意見だと思います!
吃音は言語聴覚士でもあまり知識がない人って多いですもんね。やはりマイナーなだけに授業でも取り扱われることも少なそうですよね!
では、学生時代と社会人になってからとかでもいいし小さい頃から今まででもいいのですが、自身の吃音への向き合い方は変わりましたか?
村上
やっぱり小さい頃は練習をしてました。
自分なりに。
日常的に喋る時に昔は練習してたんですけど、今はしなくなりました。
自分の吃音を許すことができるようになってきたので練習するのが減ったのかもしれません。
その方が楽なんですかね。
許すってことが。
今の方が楽にどもれますし、許すことって大事なのかな?と。
自分は許す前提って言うか。
どもらないようにって考えすぎると吃音症状に悪影響を及ぼすと思うので吃音は自分の一種だなって思うのでそういう風に変わりました。
皆川(吃音ラボ編集部)
楽にどもれるって大事なのかもしれませんね。
僕はまだやっぱりどもりたくないって気持ちが強いのでそれがなかなか出来ないんですよね。
でも許すことはできていて、それだけでも気持ち的には楽になりますよね。
では最後に同じ吃音のある方に向けてなにかメッセージをお願いします。
村上
人それぞれなのであまり言えないですけど。
悩みの中で当事者は吃音って大きな悩みだと思うんですよね。
私はおそらく吃音者の中では症状は軽い方なのですが。
それでも人生の中で吃音は大きいものなので。
まず生き甲斐をもってなにか自分の趣味とかあればいいかな?と。
あとは後ろ向きにならないことですね。
自分の心地よい環境を見つけることですね。
方法は様々あるので自分で模索して模索してひきこもらないようにだけはしてほしいかな?と。
だってもったいないですよね。
人生前向きに生きた方が楽しいですし。
やっぱりなにか楽しめるようなことを持って、前向きにいきてほしいですね。
なんとかなるので。
皆川(吃音ラボ編集部)
たしかに、僕もそれは思いますね。
吃音だけにとらわれることなく前を向いていくことが大事だなと。
中にはそれがすごく難しい人がいることも十分すぎるほどわかってはいるんですけど、周りがどこまで助けてくれるかというと、実際そこまで助けてくれる社会になるのはまだまだ先だと思いますし。
自分から変化をしていかないと難しいのかな?と思います。
今日は本当にありがとうございました。
村上
ありがとうございました。
撮影後記
村上さんは社会人1年目で言語聴覚士(ST)をされているとのことでした。
吃音がありSTを目指す方が増えているという話を聞いたことあったのですが、確かに自身のことを知りたいと思いSTを目指す人が増えることも自然な流れだなと思いました。
村上さん自身、吃音を許すことで気持ちの変化からか吃音が軽くなったのかもしれません。
どもってもいいから話そうと言うのは人によってはとても難しいことだと思いますが個人差はあると思いますが、効果的な改善法なのかもしれないなと感じました。

取材・撮影・編集=Yuki Minagawa