インタビュー

吃音当事者インタビュー 後藤

吃音当事者インタビュー

吃音を持ちながら日常生活を行っている当事者さんに職場での体験談や吃音をどのようにカバーしながら仕事をしているかや自身の吃音歴などのお話を伺っていこうと思います。
またお話頂いた内容で吃音改善に関わる内容が出てくる場合もありますが、あくまで個人の考えになりますのでご理解ください。

灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
本日はよろしくお願いします!
後藤
後藤
よろしくお願いします。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
お名前と現在のご職業を教えてください。
後藤
後藤
名前は後藤と申します。職業は今は映像編集の仕事をしています。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
映像編集!どういった経緯で映像編集の仕事を選ばれたんですか?
後藤
後藤
大学生のときに作曲を専攻していたんですけど、作曲といってもパソコンを使ったDTMっていう作曲で、メディア系のものも学ぶ機会が多くて、そこで映像音楽、映像につける音楽を作る機会がありまして、そこで映像に興味を持って、映像編集の仕事をしようかなみたいな感じで就活を始めました。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
元々は作曲をやられていたんですか!
仕事を始められてどのくらいですか?
後藤
後藤
一年目ですね。今年の四月からです。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
というと3〜4ヶ月くらいですか?
後藤
後藤
はい、そうですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
仕事の内容をもう少し具体的に教えてください。
後藤
後藤
主にテレビ番組の映像の編集をしていまして、テロップを作成したりPhotoshopで素材を作ったり実際に放送されるテレビ番組の編集をしています。他は(映像の)時間を縮めたり、地方用に放送するためのフォーマットにしたりとか、他にCMとか地上VPとかの編集もあるんですけども、主に編集しているのは今はテレビ番組の映像の編集をしています。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
テレビ番組の映像作っているんですね!
すごい!元々は音楽をやられていたと思うんですけど、音楽ではなく映像を仕事にしようと思ったのはなぜですか?
後藤
後藤
あ〜そうですね、就職活動をする流れで作曲の道というよりもやっぱ映像の方が需要があるというか。自分は両方興味があったので職業選択を考えたときに、そっち(映像)の方が就活しやすいのかなというのがあるんですけども。映像も興味があったというのがやっぱりありますね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
映像編集のお仕事を始められて率直な感想はいかがですか?
後藤
後藤
(笑)ちょっと拘束時間が長いので、大変だなと思うときもあるんですけど、基本的には楽しい感じですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
ちなみに拘束時間はどのくらいですか?
後藤
後藤
朝から次の朝までみたいな(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
ええ!大変!(笑)良く聞きますけど、映像編集の現場って本当に過酷なんですね。
後藤
後藤
そうですね(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
今のところそれほど大変な環境なのに、仕事はおもしろいんですか?
後藤
後藤
はい。まだちょっと3ヶ月目なんでひとり立ちっていう点ではまだできていないところはあるんですけども、今の段階では新しいことや刺激が結構あるので、基本的には楽しいですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
お仕事で吃音の症状の影響で難しく感じる部分はありますか?
後藤
後藤
そうですね、後ろにディレクターさんがいて指示されるんですけども、ディレクターさんとの会話でちょっと言葉がつまっちゃうこともあるので、そこがちょっと大変だなあと。
あと、僕大きい声出すとき結構どもってしまうことが多くて、ご飯は基本的にご馳走になるんですけども、「いただきます」とちゃんと元気よく大きな声で言った方がいいなと思うんですけど、なかなかそういうのが言えなかったり。
挨拶とかも声が出ないときもあるので、ちょっと厳しいときは大変ですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
声が大きいときに言葉がつまりやすいと。
後藤
後藤
そうですね、なんか大きい声出そうとするとつっかかりやすいし、あと緊張でもつっかかりやすい。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
緊張はよく聞きますが、大きい声がどもりやすりというのは僕は初めて聞きました。そういったことで職場で吃音について指摘されたことはないですか?
後藤
後藤
はい、それはないですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
職場の人には吃音であることは言っていますか?
後藤
後藤
いえ、言ってないです。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
言っていない理由はなにかありますか?
後藤
後藤
理由は特にないんですけども。なんかわざわざ自ら自分が吃音者であると言うのがわから……わからないというか、どのタイミングで言うかどうやって言えばいいのかわからなくて。別に言わなくてもいいかなってところで、言ってないですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
職場以外では身の回りの友人等には言っていないですか?
後藤
後藤
いや、ないですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
では、吃音であることを誰かに伝えたことはないんですか?
後藤
後藤
家族ぐらいですかね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
家族以外は今まで言おうと思ったこともないですか?
後藤
後藤
そうですね……はい。言おうと思ったこと……自ら吃音、吃音の話になることがないので。会話の中でいう機会がないといいますか。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
言う必要性や機会がなかったんですね。吃音を自覚したのはいつ頃ですか?
後藤
後藤
小学校低学年くらいのときに母親に指摘され、そこでちょっとそうなのかなと思って、中学生のときに自分で調べていくうちにそれが確信に変わったという感じです。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
吃音というのを知って、病院等には行きましたか?
後藤
後藤
一応精神科に行きまして、なんか精神安定剤によって和らぐみたいな感じで言われたので、そこで薬を処方してもらったりはしました。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
それによって吃音の症状に何か変化はありましたか?
後藤
後藤
あ〜そうですね〜。どうなんだろう……。たぶん…多少は改善されたかなと(笑)思います。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
完璧に改善したわけじゃないと。
後藤
後藤
そうですね(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
未だに薬は服用しているんですか?
後藤
後藤
はい。最近ちょっと病院にいけてないんで、少しの間は飲んでなかったですけど、時間があったら薬をもらいに行こうとは思っています。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
薬の服用は1日1回みたいな感じなんですか?
後藤
後藤
いやーあの頓服と言うんですかね?必要なときのちょっと前に飲むみたいな。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
じゃあスピーチや面接前なんかで緊張しそうな場面だけ服用するイメージですかね。
後藤
後藤
そうですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
なぜ後藤さんはインタビューを受けようと思ったんですか?
後藤
後藤
吃音に関することを話す機会が今まで全くなかったので、そこでこういうインタビューっていうかたちで自分の吃音のことを話せることに興味を持ちまして、それでちょっと受けてみようと思いました。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
今まで吃音について身の周りに話したことはなかったけど、吃音について話してみたいという気持ちはあったということですかね。
後藤
後藤
話してみたいといよりも、自分が吃音のことに対して話す機会がほしかったというか。
実際に人に発信するというよりも、ただ話してみたかったんですけど
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
今まで自分以外の吃音者の方にあったことはありますか?
後藤
後藤
いやあ…ないですねえ。実際に……どうなんですかね、吃音っぽいなあと思う人は何人か見たことはあるんですけど、「吃音者」と分かっている人というのはないですね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
じゃあしっかりと話したのは僕が初めてですか?
後藤
後藤
そうです(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
すいません僕で(笑)
後藤
後藤
いえいえ(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
今まで吃音で1番で辛かったり困ったりしたことがあれば教えてください。
後藤
後藤
大学生のときにコールセンターでバイトしていたときがありまして。
仕事自体は好きで、電話では基本的には結構どもらずに話せたのでよかったんですけれども、特に症状が重い日がたまにあって。そういうときはもう…やっぱり話す仕事なので、電話口の相手にも「どうした、大丈夫か」っていう感じのことを急に言われると傷つきますね(笑)
なんかお客様に心配されているみたいなことで傷つきました(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
コールセンター!!
すごいですね!
吃音者の人が1番苦手の意識あるのが電話なので、コールセンターは驚きです。
なぜコールセンターを選んだんですか?
後藤
後藤
立ち仕事が嫌だったので、そうなるとバイトであるのってコールセンターが主なのかなっていうところで、大学生のときに「まあバイトをするか」ってなったときに、消去法でって言ったらアレですけど、選んでいたらコールセンターになりました。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
では自分の吃音の症状あるなしに関係なく選ばれたってことですか?
後藤
後藤
そうですね、まあなんとかなるだろうと…(笑)
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
いやーすごいです。そんな中でも症状が重たい日はあったんですね。
後藤
後藤
はい。
なんで重たいのか自分でもわかんないんですけど、「なんか今日特につまるな、いえない言葉があるな」みたいなときはありましたね。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
すごいよくわかります。
何が原因かはわからないけど、今日喋れるなって日もあれば、今日はいつも以上にひどいなってときもあるんですよね。
それが自分の中で掴めればいいんですが。それでも電話であまりどもらないという人は後藤さんが初めてなのでコールセンターは衝撃的でした。
最後に観ている方に何かメッセージをお願いします!
後藤
後藤
あ〜そうですね…、職業選択をする上で、僕は元々吃音のせいでそれが狭まったというのがなかったので、ちょっと吃音のせいで制限される人の気持ちがわからないところがあるんですけど……。
やっぱり向いていることを探す、と言いますか、これだったら自分でもできるというか自信がもてるもの、好きなものとか、他に向いていると思う選択肢を新しく作るというのがいいと思います。
灰根(吃音ラボ編集部)
灰根(吃音ラボ編集部)
ありがとうございました!
後藤
後藤
ありがとうございました!
撮影後記

映像編集の仕事をしているという後藤さん。
吃音によって職業選択に影響はなかったと仰っていて、それの最たる例が学生時代にやられていたというコールセンターのアルバイト。
僕もそうですが、吃音者は電話対応が苦手な人が多いので、コールセンターを自ら選択する吃音者の方がいることに非常に驚きました。
色々な方をインタビューさせていただいていますが、吃音の症状の内容や出やすい状況は人によって違うんだなということを改めて感じさせてくれたインタビューでした。
後藤さんの仰るように、自分に向いているもの、できるもの、好きなもの、自信が持てるものを探していくことが重要ではないかと思いました。

取材・撮影・編集=灰根