インタビュー

吃音当事者インタビュー 千葉 秀美

吃音当事者インタビュー

吃音を持ちながら日常生活を行っている当事者さんに職場での体験談や吃音をどのようにカバーしながら仕事をしているかや自身の吃音歴などのお話を伺っていこうと思います。
またお話頂いた内容で吃音改善に関わる内容が出てくる場合もありますが、あくまで個人の考えになりますのでご理解ください。

皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
今日はよろしくお願いします。
千葉 秀美
千葉 秀美
よろしくお願いします。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
でははじめに、お名前とご職業を教えて頂けますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
名前は千葉秀美と申します。
仕事は、CADオペレーターをしています。(手話をしながら)
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
手話すごいですね!
手話の勉強は、日頃からされてるんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
通訳者の講座にこの間まで通ってました。
一応、一旦講座は終わりました。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
手話の勉強を、はじめたきっかけはありますか?
吃音が関係していたりするんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
手話の勉強をはじめたきっかけは、私がき・つ・お・ん・症だったために話したい気持ちがすごくあって、若い頃にすごく悩んで色々考えて、なにかいい方法はないかな?と思ってた時にちょうどテレビでみてこれだと思いそれから自分で勉強を始めました。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では最初は手話を独学で、勉強し始めたってことですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
そうですね!
最初は自分で本を買って勉強して覚えましたね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
すごいですね!
CADオペレーターのお仕事をされていて吃音があり困ることはありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
いまの仕事はCADなのでずっとコンピュータで操作する仕事なので、電話とかも一切出る必要もないので今はそんなに悩んでることはないですね!
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
今は悩んでることはあまりないとの事なので以前は、苦労することも多かったんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
そうですね。前は普通の一般事務とかもやっていて、やっぱり電話が必須で電話をとっても会社名が言えないってなってそうすると電話相手の方から『えぇ?』って思われてやっと会社名が言えました。
その後上司に〇〇さんから電話ありましたよって言わないといけないのも言えずに、それが毎日毎日ストレスの連続でその時は、自殺とかも考えました。
それが10代の頃だったんですけど、その後に色々考えて進学しようかな?と思い大学を受験して大学を出たあとに就職しないといけないってなった時に昔、事務で辛い経験していたのでそこで見つけたのがCADというお仕事でそこからずっと今まで続けています。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では今のお仕事は何年くらい続けているんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
えっ!歳がバレる…30年位です。歳バレちゃいますね(笑)
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
実年齢よりかなりお若く見えるので気にしないでいいと思います(笑)
最初に年齢きいてびっくりしましたし!
本当は他のお仕事をしたかったなどはあるんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
本当は話すことがすごく好きなんですよ。
だから話す関係の仕事はしたかったなと思いますけど…まぁ無理ですからね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
仕事で苦手な電話対応は今はないそうですが、日常生活で困ることはありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
本当は話すことがすごく好きなんですよ。
だから話す関係の仕事はしたかったなと思いますけど…まぁ無理ですからね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
仕事で苦手な電話対応は今はないそうですが、日常生活で困ることはありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
普段は今はメールがあるのでほとんど電話する必要はないんですけど、昔はやっぱり電話しかなくて例えば主人の実家からお米が送られてきたとき『ありがとう』の電話を普通はするじゃないですか?
それができないので私は知らん顔して…最低ですよね?(笑)
最低な嫁だな…ってでも気持ち的には言えなかったごめんなさい。本当はありがとうって思ってるんだよ。って気持ちでいても言えないのでクソー吃音のせいで言えないんだコノヤローって思ってそこからお米とかもいらないとか思っちゃうんですよね。
それはお礼が言えないから。そこまで人間性がひねくれちゃうっていうかそういう風になっちゃうんですよね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
僕も頂き物するとお礼しないとって思うんですけど、電話はできず困ることは多々あります。
だからその辛さってよくわかります。わかっているのにお礼が出来ないって吃音者は、すごく多いんですよね。ありがとうが苦手ってよく聞きますし。
職場では吃音があることは周りに話してるんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
今の職場の人達が知ってるか分からないんですけど、派遣会社にはいってあって電話はできませんって正直に話していてそれを納得してくれた場所へ派遣されている感じです。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
話してみて反応はどうでしたか?
千葉 秀美
千葉 秀美
特にはぁいみたいな感じで、特別なことは…その代わりに仕事の数は減りますよね。
当然、でもそれは仕方ないかな?と思ってます。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では電話以外で吃音で困ることってどんなことがありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
人とのコミュニケーションですね!
職場での普通の雑談とかあるんですけどそういう時に言われて私はこう返したいって内容があっても出ないから『うん、うん』で終わってしまう。
会話のキャッチボールができないっていうか…会話もすぐ終わっちゃう感じでそこがいつも不満ですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
吃音があり避けてしまう場面はありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
まずは電話が一番最初にきますね!
あとパーティーですかね。私、趣味でサルサダンスをやるんですよ。
バーでお酒呑みながら踊るんですけど、踊ってる時はいいんですけど終わった時にみんなでワイワイとお喋りを楽しむ時に私は吃音ですから会話を楽しめずひとりで待ってる感じで、その時は私はやってていいのかな?このままサルサを続けていいのかな?って。
周りを見ると皆さん楽しそうにお話をしててその時はうーんって考えちゃいますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
今こうして明るく話をされている千葉さんでも、そういう風に考えるんですね!
やっぱり吃音の症状が人それぞれだと思うので、そこが本当に難しいですよね。
千葉さんは自分に吃音の症状が出た時どんな配慮を求めたいなどはありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
うーーーん。相手うんぬんではないですね。
私の場合は。相手ではなくて自分をどうにかしたいって思います。相手に要望は特にないですね。
しいて言うなら私の言葉が出るまで待って欲しいことかな。
それか言いたい言葉を察して話してほしいですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
言いたい言葉を察してほしいってことは僕もすごくわかります。では苦手な言葉はありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
苦手な言葉いっぱいありますね。
タ行が苦手、ナ行も苦手、あとア行も苦手、単語によって違いますけどね。あとは雰囲気ですね。あとは人ですね!
相手によって変わってきます。言葉ってよりは環境で変わってきますね!
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では、特にこの環境が苦手はありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
まずは職場ですね。
初めて会った人とか上司とか、あと主人と話す時も緊張しちゃってなかなか出ないのが一番辛いですね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
ご主人とは25年以上一緒にいるそうですが、会話の際は緊張があるんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
緊張…緊張ではないんだけど、やっぱりスムーズに出てこなくてそれがすごく悔しいというかいつもなんでなんでーって思っていて主人と位は普通にスムーズに話したいのに、主人とすら会話ができないのが悔しいしいつもそういう思いをしています。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
そうなんですね。不思議ですね。
きっとリラックスしてお話できるののかな?と思ったんですけどね。
吃音だと言ってある相手に対しては話すのが楽になるっていう方もいるとは思うんですけどご主人には吃音の事はお話されてないんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
私は主人に対しては言ったことないです。
昔一回だけありますけど、その事について話し合ったことはないですね。でも知ってるとは思いますよ。
私が言えないってなった時は待ってくれますけどでも彼は私がこんなに吃音で悩んでるとは思ってないと思います。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
なぜ家庭で吃音の話ができないと思いますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
そこが自分でも分からなくて、あえて話すことでもないかな?と。普通に幸せに暮らしてるんだから言って話し合って解決するならいいけど、どうしようもない事かな?と思って。
だから言っても仕方ないと思って。自分でもよく分からないです。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
確かに言って解決はしないですよね。そこは本当に難しいと思います。
でも一度話したことあるってだけでも、心理的には大きいのかな?と思います。
隠してる訳ではないですしね!
今の派遣のお仕事って登録の際は面接などはありますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
今はなくなりましたね。昔は絶対あったんですけどね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では面接などでは、吃音があると事前に話すようにしているんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
私、自分がこの障害を持ってると言えるようになったのは最近なんです。前は本当にずっと隠していて。今の派遣会社には、正直に話しています。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
なぜ最近になり言えるようになったんですか?なにか心境の変化があったんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
きっかけは忘れたんですけど、吃音をずっと隠してもなにも解決しないってことがやっと分かって自分から発信していかないと自分のこの苦しみがずっと続くなと思っていて、それが難しいんですけどね。
それは前からわかってたんですけどでも言えないんですよね。自分が吃音です。って。私は言えるようになるまで40年50年かかってますからね。
でも言ったら楽になるし周りも私にすごく気を遣ってくれるので昔だったら電話も取らないと怒られたと思うんですよ。
でも今なら仕方ないねって皆さん優しく接してくれてます。だから皆さんも周りに正直に言ってくださいって思います。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
仕事面ではやっぱり吃音だと言って良かったって方が本当に多いと思います。プライベートは中々言えないって人多いんですよね。
例えばサルサで知り合った友人にはどうですか?吃音だと話していますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
SNSとかで発信はしていますけど、直接会話とかではないですね。言えないですね。
自分の口からっていうのはちょっとまだできないですね。[/
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
やっぱり仕事とプライデートでは話す話さないの価値が変わりますよね。
千葉さんはなぜ言えないと考えているんですか?
千葉 秀美
千葉 秀美
避けたい。
うん、やっぱり自分がど・も・り・って言うのをまだ認めたくないって気持ちもあるのかもしれないです。
あと言った所でどうなるのって疑問もあるじゃないですか?障害って言うと深刻な話って受け止められちゃって話がシューンってなってしまうかもしれないし、それがすごく楽しい話ならいいんですけどそうではないので、あえてする必要はないのかな?と思って。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
では直接的には、仕事関係とご主人に一度昔話したこと以外は吃音のことは話していないってことですよね?
千葉 秀美
千葉 秀美
そうですね、主人にはむかーし一回だけ。
あとはメールがあるから言いやすくなってメールだと書けるから自分の口からはないですね。就活の先生とかには言ったこともありますけどすごく大変ですね。
自分の口から言うのは。だからほとんどメールで言いますね。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
メールだと言いにくい事も話せる。今は本当に便利ですよね。
吃音が広く知られることによって例えば小さいお子さんとかだと学校でいじめを受けるから広めてほしくないなどと言った声もありますが、千葉さんは広く認知されてほしいですか?それとも認知されないままでいいと考えてますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
結論から言うと広めてほしいですね。
なぜなら自分が昔吃音のことを隠し続けてすごく大変な思いをしてたので、それで今職場では正直に話してすごく楽になったので自分から正直に話して吃音症のことを健常者の方に知ってほしいと思います。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
吃音者として社会に対してどんな配慮を望みますか?
千葉 秀美
千葉 秀美
まず吃音者は普通に話すことが無理ってことをわかってほしい。
あと人として生きていくためには絶対的にコミュニケーションが必要なんですよ。
そのコミュニケーションが苦手な障害、病気なのでそのコミュニケーション方法を考えないといけない思うんですよ。
ほとんどの吃音者は、吃音を治せるなら治したいと思っていると思うんですよ。
吃音が出ないで普通にスムーズに話したいと思うんですよ。でもそれは無理ですよね?それなら他のコミュニケーションの方法を作ればいいと思っていてそれで私は手話を学んだんですけど。
ただ一般の人達は手話は分からないし、私の夢の話ですけど出来れば手話を広めて吃音者も健常者も手話で会話ができれば障害者ではなくなって、すごく過ごしやすい世の中に代わるんじゃないかな?と思います。
それか、吃音を治す手術とか薬とかをだれかが発見して…でもそれは難しいのかな?と思うので、だから私は他のコミュニケーション方法を作ればと思ってだから、他の人になにかを求めるのであれば手話を覚えてほしいですね(笑)
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
話を聞いていて思ったのですが、手話は千葉さんにとってはすごくいいコミュニケーションの手段になっているんだなってことがよく伝わってきました。
では最後に同じ吃音者の方にメッセージがあればお願いします。
千葉 秀美
千葉 秀美
私たちの吃音は、ほとんどの人は消えることがないと思うんですよね。
吃音症は障害であると自分で認めることが大事だと思います。
そこからどうするかは、自分で考えてください。
例えば自分で話し方やスムーズに話せるようになる方法を考える。
あと他として重要だと私が考えるのは周りをどう変えるか。
自分を変えるってある程度限界があるので、周りにこの障害を知ってもらいその上でどう対処するかその解決方法を周りの人にも一緒に考えて貰えるように訴えていく。
自分たちはこういう所で苦労してる、言えなくて悔しい思いをしている。
コミュニケーションがとるのが本当に大変なんだよってことをまずは知ってほしい。その一歩が本当に大変なことはわかっていますよ。
でもその一歩、スタートする。
そのスタート地点が、自分は吃音症だよって言うのを認めてあげる。そこだと思います。そこをしないとなにも始まらないと思います。
皆川(吃音ラボ編集部)
皆川(吃音ラボ編集部)
たしかにそこの一歩はハードルが高いですよね。
僕も吃音から逃げるように30年近く生きてきましたけどやっとしっかり向き合うことは大事だと自覚しましたし。
そこが本当の一歩目なんだと思います。
今日はご協力ありがとうございました。
千葉 秀美
千葉 秀美
ありがとうございました!
撮影後記

千葉さん本人が話してくださった通り本当に話すことが好きってことが伝わってくる方でした。
吃音で思ったように話せなく落ち込んでる時、手話に出会いすぐに覚えることが出来たとお話していて手話をしながらだと発話もしやすいとのことでした。
個人的には手話に限らず言葉以外のコミュニケーションの手段を持つことで吃音者は前向きになれるのかな?と思いました。
吃音を忘れる時間をうまく持つことが前向きに進んでいくためのコツなのかもしれません。

取材・撮影・編集=皆川