吃音ってなに?【言語聴覚士監修】

吃音ってなに?
吃音についてまずは知識を深める為、言語聴覚士の矢田康人先生に吃音とはどんな病気なのかインタビューしてみました
皆川(吃音ラボ編集部)
今日はよろしくお願いします。矢田さん自身も吃音当事者であり言語聴覚士としてお仕事をされてるんですよね?
矢田康人‐言語聴覚士‐
はい!私自身も吃音当事者で、現在は言語聴覚士として働きながら、大学院の博士課程にて吃音の研究もしています。
皆川(吃音ラボ編集部)
そもそも言語聴覚士ってあまり聞きなれないんですけどどんなお仕事をするんですか??
矢田康人‐言語聴覚士‐
『話すこと』『書くこと』『読むこと』『聞くこと』といったコミュニケーション能力になんらかの問題を抱えた方の支援を専門とする医療専門職です。最近では嚥下(食べたり飲みこんだりすること)に問題のある方への支援も行うようになってきています。
皆川(吃音ラボ編集部)
ではまさに『話すこと』に問題を抱えた吃音者の支援をするお仕事ですね!
矢田康人‐言語聴覚士‐
はい!言語聴覚士でも吃音の方を診れる言語聴覚士は少ないですがまさにその通りです

 

皆川(吃音ラボ編集部)
では早速ですが吃音ってどんな病気なんですか?どもる事は癖とは違うんですか?
矢田康人‐言語聴覚士‐
ひとことで表すと『スムーズに話すことができない』ことばの問題です。

WHO(世界保健機構)では『話者は自分がなにを言いたいか知っているが付随的に生じる繰り返し、引き伸ばし、発声の停止のために言うことができないような発話のリズム障害』と定義されています

 

皆川(吃音ラボ編集部)
吃音の症状って具体的にどんなものがあるんですか?
矢田康人‐言語聴覚士‐

「ぼぼぼぼぼく」のような初めの音のくり返し

「おーーかあさん」のような引き伸ばし

「....(話そうとしてもことばが出てこない)おはよう」のようなつまり(ブロック)

が吃音の中核的な症状とされています。

 

皆川(吃音ラボ編集部)
吃音になる特定の原因ってあるんですか?
矢田康人‐言語聴覚士‐
詳細なメカニズムはは分かっていませんが、吃音のある人の脳の構造は吃音のない人とは異なる部分があること[1–3]や、話す時に働く脳の部位のうち吃音のない人よりも過剰に活動する場所や、逆に活動が小さい場所があることがわかってます。[4,5]ではなぜそのようなことが起こるのかという点については多くの研究者が議論を重ねていますが、遺伝的な要因が大きいと考えられてます。かつては『左利きを右利きに矯正したから』『親の育て方が悪いから』などといった原因論が囁かれていましたが現在ではすべて否定されています

引用[1] Chang S-E, Zhu DC, Choo AL, Angstadt M. White matter neuroanatomical differences in young children who stutter. Brain 2015;138:694–711. doi:10.1093/brain/awu400.

引用[2] Civier O, Kronfeld-Duenias V, Amir O, Ezrati-Vinacour R, Ben-Shachar M. Reduced fractional anisotropy in the anterior corpus callosum is associated with reduced speech fluency in persistent developmental stuttering. Brain Lang 2015;143:20–31. doi:10.1016/j.bandl.2015.01.012.

引用[3] Neef NE, Anwander A, Bütfering C, Schmidt-Samoa C, Friederici AD, Paulus W, et al. Structural connectivity of right frontal hyperactive areas scales with stuttering severity. Brain 2018;141:191–204. doi:10.1093/brain/awx316.

引用[4] Belyk M, Kraft SJ, Brown S. Stuttering as a trait or state – an ALE meta-analysis of neuroimaging studies. Eur J Neurosci 2015;41:275–84. doi:10.1111/ejn.12765.

引用[5] Etchell AC, Civier O, Ballard KJ, Sowman PF. A systematic literature review of neuroimaging research on developmental stuttering between 1995 and 2016. J Fluen Disord 2017.

皆川(吃音ラボ編集部)
じゃあ吃音は遺伝するってことですね?私の息子が産まれたばかりなので少し心配になりました。でも両親や兄弟は吃音ではないしなぁ、、、
矢田康人‐言語聴覚士‐
吃音の発症要因の7割が遺伝を含む体質的なもの(6)と考えられ、両親やその血縁に吃音のある人がいる場合の方がそうでない場合よりも吃音を発症するリスクは高くなると考えられます。しかし、親が吃音だからといって必ずしも子どもが吃音になるというわけではないという点には注意してください。

引用[6] Andrews G, Morris-Yates A, Howie P, Martin N. Genetic factors in stuttering confirmed. Arch Gen Psychiatry 1991.

皆川(吃音ラボ編集部)
必ず遺伝する訳じゃないと聞き少し安心しました。言語聴覚士の先生に見て貰った場合はどんなことをするんですか??
矢田康人‐言語聴覚士‐
まず本当に吃音なのか、また吃音の程度はどの程度なのか等を把握するために色々とお話を伺った上で検査を行います。その後、どのような訓練・支援が有効であるかを判断し、段階的に訓練を進めていきます。具体的にどのような事を行うのかは個別のケースにより異なります。また医療機関では必ず言語聴覚士だけでなく医師の診察が必ず必要です。
皆川(吃音ラボ編集部)
なるほど!人によって治療方法を変えていくわけですね!なんとなく知っている気でいたことも再確認できいい勉強になりました。ありがとうございました!

 

編集部まとめ
  • 吃音とは発話のリズム障害である

  • 原因の大半が遺伝子を含む体質的なもの

  • すべてはわかっていないが、どうやら「脳」の問題である